プロレスを愛する人たちを主人公にした台湾の連作短編。この小説が作者の大学の卒業制作というので、質が高いと思ったり。全体に漂うもの悲しさがなんとなく、故・エドワード・ヤンの映画の世界。中でも『おばあちゃんのエメラルド』が白眉。日本の古いプロレスフィルムを深夜に流す台湾のケーブルテレビ……故・三沢光晴がこんなところでまだ生きていたなんて!
梶村啓二『野いばら』読了。
ドラマにしてほしいなあ、NHKに、と思うようなロマンチックな小説。一気に読んだ。が、筆致はけっしてべたべたしたものではなく、あくまで静謐で品がいい。悲劇になるとわかっていながら……下手をするとハーレクインやらになってしまいそうな題材だけれども。懐かしのジョージ・チャキリスが出たラフカディオ・ハーンのドラマみたいな雰囲気かなあ、ちゃんと見てないけど。第三回日経小説大賞受賞作。
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これも結構図書館で待たされました。が、面白かったです。南国のけだるい夜の雰囲気がいい感じ。『野いばら』も初めて読んだ作家さんでしたが、当たりでした。