なるほど、1960年以降の文学史をまとめたものってなかったのか。それにしたって、またまた図書館の読みたい本リストにたくさんの本がたまってしまいました。分析には人によって意見があろうけれども、時代の代表作をまとめておいてもらうと、本読みとしては助かるな。
工藤美代子『カナダ遊妓楼に降る雪は』読了。
先に彼女の実体験階段本を読んだが、こちらが本業。いわゆる「からゆきさん」だけではなく、アメリカ・カナダに行った人たちも確かに存在したわけで……ラストの、彼女たちの故郷を訪ねる旅のところがなんとも切ない。どんな商売をしたにせよ、必死に働いて国に送金した人たちの過去を暴くような権利は誰にもないが……。
梁石日『夢の回廊』読了。
前半は、子供のころの朝鮮人部落の強烈な記憶(?)をもとにした短編。後半はタクシードライバーもの。相変わらず、読ませるねえ。泣かせるのもあった。
松本清張『家紋』聴了? The CD Bookのシリーズで、朗読は故・市原悦子。たいして声を変えているわけでもないように思えるのに、キャラクターを演じ分け、聴き手を引き付ける腕は、さすが。もちろん作品自体もすごく面白いんだけど。過去迷宮入りになった殺人事件について、何年もたってから記憶がよみがえる……一ノ関圭の短編にもあったな、こういうの。